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何もしないということ

今年、新たなチャレンジ

というか、新しい試みというか、楽しんで取り組んでいることがあります。

それは、「極力何もしないということ」

自然栽培を始めてから10年以上経つ今、農業を始めた当時の事を思い出すと、とても浅はかで何もわかっていなかった自分がいた事を思い出します。

それまでの仕事の延長で、何もかもは自分の思い通りにコントロールできると思い込み、躍起になっていた若い自分がいました。

当時、新しく授かった理想的な田んぼ。

大面積だったこともあり、本当にマジで死ぬんじゃないかと思うほどの夏の草取りの激務から解放されて迎えた秋の収穫。

どこよりも早く実った無農薬のコシヒカリに、無残にもスズメの大軍が飛来し、命がけで作った収穫前のお米をほとんど食べれてしまったのです。

毎日毎日田んぼに飛来する数百匹の大群になすすべもなく、本当の自然の姿、恐ろしさ、自分一人で出来るの事の限界を思い知らされた出来事でした。

あれ以来、農を「波乗り」と同じように捉えるようになりました。

強引に自分自身の力でねじ伏せるのではなく、波乗りのように波の力、浮力と一体になる事を意識し、エネルギーが合わさって効率よく爆発する点を見極めて、そこに集中する事を全てにおいて心がけるようになりました。

そして、世界が変わり始めました。

「マーケティングや営業は一切しない」

「天候や季節、惑星の動きや活動に同調し、適期を見定め、栽培においても圃場管理においても、無駄な仕事は一切しない」

とにかく自分自身から発せられる何か、その中心点にだけ注力し、信じた道をコツコツと続けることだけにエネルギーを集中し、生きてきました。

その結果、経営面積は増えても効率はどんどん上がり、失敗が極限まで減ったことでリカバリーに要する労力や出費は減り、体はより楽になっていきました。

心と心で繋がった真のお客様が自然と増え、そして皆様長年続けて当農園のお米を食べ続けて下さっている・・

それは不思議な、まるで魔法のような感覚でした。

そして、今年は今までの自分の中の常識を覆そうと、畑苗代で種まきから水まきを一度もせずに、3葉まで持ってく実験をしています。

私のところでは、発芽から初期の扱いに少しだけテクニックがいるポット苗での育苗を、畑苗代で3葉まで乗り切る事で凌いでいます。

今のところ、2葉が展開し終わり、3葉が出始めたところで今日は待望の雨!!

明日の午前中を凌げば11:00頃に遮光ネットをかけて、次の雨まで遮光ネットの適切なタイミングでの開け閉めだけで、5月8日の水苗代への苗移動まで散水なしでもっていけるかもしれません。

各田んぼの草取りも、毎年の積み重ねにより、今ではほぼ擬態上手なタイヌビエだけになっています。

田んぼの地力も、無肥料栽培が完全に成立するほど沢山の生き物たちが毎年集まってきてくれていて、あとは秋の天日干しで晴天を読み、雨から逃げ切るセンスを磨く事を怠らずにやっていけば、究極の形が出来上がるような気がしています。

そんな、生き物たちみんなで作るこだわりの作品を、今年の秋も皆様にお届けできたらなと思っています。

稲と里の生き物たちという家族に支えられ、

お客様という大家族といつも一緒に、今日の私たちは在ります。

輪の結束は更に繋がり、どんどん大きくなっています。

輪と和

今日も感謝で

おやすみなさい。

農園主